仕事のやりがい

Vol.1022023.11
「人生に寄り添えるやりがい」
職種:
看護師
勤続年数:
23年

私が外来へ配属された12年前から、すでに当院かかりつけ患者だったA氏。今年7月、A氏は自らの望みであった自宅でご家族に見守られ逝去されました。

A氏は石材店を営み、石削の影響で塵肺を患い、慢性呼吸不全で晩年は在宅酸素療法が導入となっていました。A氏はご自身の疾患を受容し、入院はせずに最期まで自宅で過ごすことを希望していました。A氏が受診したある日、私はA氏から「人生の終わりの迎え方」を具体的に決めているということを伺い大変驚きました。自分で自分の遺影写真を選び、葬儀社と寺院の住職へ仏事の要望を細部まで相談していたのです。その覚悟を聞いた中で、外来看護師としてA氏の残された時間にどのように寄り添えるかを考えました。月1回の受診の際は、A氏のこれまで歩んだ人生を傾聴し、労いの言葉をかけ背中をさすり同じ時間を過ごしました。会話の中で今まで見たことがない穏やかな優しい表情を見せてくれたのはとても印象的でした。最後の数週間は、通院が難しく在宅医療へ切り替わりましたが、在宅医より、A氏が当院での治療にとても感謝されていたことを伺いました。外来看護の中で、患者さんの生涯の一節に関わる事ができたことを実感し仕事のやりがいを感じます。今後も地域に住む患者さんの生活を支援しながら、患者さんの人生に寄り添っていきたいと思います。