仕事のやりがい

Vol.0702020.12
「リハビリは黒子」
職種:
作業療法士
勤続年数:
3年

私は現在一般病棟・療養病棟、外来リハビリで勤めている勤続3年目の作業療法士です。作業療法士として対象者の方々により良いリハビリテーションが提供できるように日々の業務を全うしています。

対象者の方と関わるなかで、作業療法士としてのあり方を明確に感じる事ができた症例があります。その方は脳血管障害を発症し外来リハビリを利用されている方で、ご家族で理髪店を営み、再開を希望されていました。状態としては運動麻痺・感覚障害は軽度でしたが、髪を切る動作は利き手で鋏を持つだけではなく、非利き手で櫛を持ったり髪に触れたりという連続した両手を使う時間が多くあります。その方は協調的な動きと作業耐久性が低く、終日続けて仕事をするのが困難な状態でした。そこで作業療法では、理髪店の再開を目標に介入を行い、細かい巧緻性の訓練、普通の鋏を用いての動作練習等を行いました。徐々に機能改善、耐久性向上もみられたので、最終評価として実際の道具を持ってきて頂き、マネキンでのカット練習を行いました。(上長には了承を得た上で)

今まで模擬的な練習しかしていなかったため、実際の鋏で行うのは久しぶりでした。不安はありましたが問題なく動作可能でご本人からは「リハビリでここまでやってくれると思わなかった。自信になったよ」と笑顔で話されていました。その後も発症前同様の動きを目指す為自主訓練にも積極的に取り組んでくださり、無事理髪店を再開することが出来ました。これは事前に目標を立て共働したことでご本人の希望実現に繋がったと考えています。

作業療法士は生活を診る専門家です。入院・外来・通所・訪問問わず、対象者の方にはそれぞれの生活があります。希望達成に向け、セラピストは舞台の黒子のように様々な資源(調理・畑・趣味活動)を用いて対象者に合わせたリハビリを提供し対象者を舞台の主役のように引き立てるのがこの仕事の魅力であり、私のやりがいだと感じています。