仕事のやりがい

Vol.0662020.08
「何か出来ることはないか」
職種:
作業療法士
勤続年数:
7年

私は今年で勤続7年目となる作業療法士です。東日本大震災を機に石巻の人たちに何か助けになることはできないか、と意識しながら患者さんが安心・満足いただけるリハビリを提供できればと思い日々働いています。

そんな中、自分のなかで一つ、患者さんの助けに少しでもなれたと実感できる事例がありました。その方は今年2月に頚髄損傷で入院された60歳代男性の患者さんで、介助があれば何とか歩くことが出来ましたが、両肩・手に力が入らず食事や着替え、トイレ等全ての生活動作に全介助が必要な状態でした。ご本人としても「良くなって自宅に帰りたいけど、難しいよな」と自宅が貸家で独居だったこともあり、今後の生活にも希望を見出すことが難しい状態でした。その為、ポータブルスプリングバランサー等のリハビリの器具を使いながら、まず両腕は補助があるとどれくらい動き、どの生活動作では使えるかご本人と実動作を通して確認をしていきました。「これなら出来るな」とご本人が感じた生活動作は看護師やケアワーカー等へ随時情報共有し、病棟生活の中でも出来ることが少しずつ増えていきました。結果、「家だとこうすれば良いな」とご本人からも自宅での生活に希望を見出すことができ、笑顔が増えていきました。最終的には、着替えは軽介助が必要な状態でしたが、それ以外の生活動作は修正自立レベルとなり、自宅へ退院することとなりました。

リハビリを通して、患者さんとどうやったら出来るか模索し、生活の助けになれたことに喜びとやりがいを強く感じましたが、同時に患者さんの今後の人生の「生きがい」とはなにかについては、十分に介入が出来なかった反省点もあります。その為、今後も自分に出来ることは何かないかを絶えず考えていくとともに、患者さんの今後の人生を歩むときの「生きがい」も支援できる様、日々リハビリをしていきたいと思います。