仕事のやりがい

Vol.0512019.04
「入学式~母の思いに応える~」
職種:
理学療法士
勤続年数:
4年

私は石巻健育会病院回復期病棟に勤務し4年目になります。最近ある患者さんから「息子の入学式に行きたい」との希望が聞かれました。その患者さんは脳出血を呈しており眩暈や吐き気の訴えがありました。離床に関しても数十分の離床が精一杯であり、ADLのほとんどで介助が必要な状態でした。病棟カンファレンスで患者さんの希望や身体機能、外出に伴うリスクについてスタッフ間で話し合いました。入学式への参加という目標は、患者さんが意欲的に取り組める活動の1つになると考え、入学式の1ヵ月半前から離床時間の延長を図るために訓練を行っていきました。また患者さんやご家族、病院スタッフ、小学校の職員で入学式に参加出来るよう情報を共有しながら打ち合わせを行っていきました。

その結果、3時間程度の離床が可能となりスタッフ同行の下で入学式に参加することが出来ました。息子さんの写真を撮る姿などが見られ笑顔で過ごす様子が見られました。その出来事をきっかけに患者さんから「歩けるようになりたい」「息子のお弁当を作りたい」「息子の名前を大きな声で呼びたい」などの目標も多く挙げられるようになり活動量も増加してきています。容易に離床が出来なかった患者さんが外出し「行けましたね。頑張った、ありがとう」と聞かれ達成感とやりがいを感じることが出来ました。

セラピストとしては身体機能の向上を図るということはとても大事なことと考えています。しかし、残念ながら著明な改善に至らない患者さんもおられます。今回の事例を通し患者さんが持つ叶えたい目標に向けスタッフ、ご家族との連携を密に取り目標達成を目指すことも大事だと感じました。今後もこの経験活かし業務に取り組んでいきたいと思います。