仕事のやりがい
Vol.0292017.04
- 「西日ニモマケズ」
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職種:
作業療法士勤続年数:
5年 -
私は石巻健育会病院で働き始めて5年目になりました。石巻は港町として有名ですが、農家を長年やってきた患者も多く入院しています。石巻健育会病院が移転した2月後、職場の協力もあり、リハビリテーション室のベランダでプランター菜園を始めました。農家初心者の私は患者にも手伝ってもらいながら野菜作りを始めました。その過程で私は、患者が「作業的存在」であることを実感しました。入院生活は、病前生活とは大きく異なり、これまで行ってきた趣味や仕事の喪失が起こります。入院生活であっても、病前の作業バランスを可能な限り維持し、入院生活を送ることを支援するためにもプランター菜園は有意義であったと思います。苗やプランターの用意、植え替え、水遣り、間引き、追肥、収穫と野菜を育てる工程は多岐に渡りますが、その1つ1つの工程で、生き生きと野菜の世話をする患者を多く見てきました。無口な男性患者が野菜を見ると笑顔になる。覚醒の悪い患者が花の香りを嗅ぐと少し反応がある。トマトが赤くなると思わず笑みがこぼれる。このような患者を見ていると、プランター菜園をやって良かったとやりがいを感じることができます。
さて、当院のベランダは風が強く、野菜の生育には過酷な環境です。また、朝日は当たらず、西日が強い環境ですが、今年度はプランターを増設予定となっています。宮沢賢治の詩のような人物に近づけるように、「西日ニモマケズ」少しでも楽しい入院生活を送れるように支援していきたいです。