仕事のやりがい

Vol.0132015.11
「患者さんの強い気持ちがやりがいに」
職種:
作業療法士
勤続年数:
3年

私は石巻健育会病院の回復期で働き、3年目になります。最近ある患者さんから「外出したい」との申し出がありました。この患者さんは、麻痺が重度で車椅子移乗も一人では難しい現状に加え、高次脳機能障害も発症しており、対人コミュニケーションや現状理解、計画立てて行動することに苦手な部分があります。そのためリハビリが必ずしもスムーズに進まない時期もありました。

外出の内容を聞きますと、毎年結婚記念日に奥様とお出かけになっていたので、今年もぜひ食事に出かけたいとのことでした。そこでOTとして今回の件にどのように関わることが出来るか、さらには今後のリハビリに活かすことは出来ないかと考え、患者さん・ご家族・スタッフ間で現状を適切に共有できるようアプローチしていきました。

その結果、患者さん・ご家族・スタッフそれぞれ納得した形で外出する運びとなりました。加えて退院後の具体的な生活についても話し合うことができ、患者さんには苦手としていた訓練にも粘り強く取り組んでいただけるようになりました。また、ご本人からは「いろいろ考えていただいてありがとうございます。」とのお言葉をいただきました。リハビリ開始当初より、周囲とのコミュニケーションが困難であった方から、このようなお言葉を頂き、今までに無いほどの達成感とやりがいを感じました。

これまでこのような障がいを持つ患者さんを数人担当させていただきましたが、今回の件を通し、セラピストだけでなく、ご家族・スタッフも治療的な役割を持つことを改めて感じることができました。今後もこの経験を活かし、心身機能面・活動面・参加面・個人因子・環境因子を総合的に考えたリハビリを提供していくとともに、このような達成感とやりがいを後輩にも経験してもらえるよう指導にあたっていきたいと強く感じました。